秋尾 沙戸子著
2012年新潮社刊/定価1800円/ハードカバー/320頁
プロローグ
第1章 鉄柵の中の「日本人村」
第2章 ハリウッドへの道
第3章 米陸軍日本語学校
第4章 オキュパイド・ジャパン
第5章 ジャズと軍務と文学と
第6章 うずき始めた傷口
エピローグ
戦後占領期、日本のジャズメンから「神様」と呼ばれた日系二世の物語。南里文雄、ジョージ川口、
渡辺貞夫、北村英治、宮間利之など、彼から直接手ほどきを受けた人々は数知れない。 クラリネット、
サックス、トランペット、ギター、ピアノを弾きこなし、作編曲の才能に恵まれた。戦後日本のジャズレコード
第1号は、ジミー・アラキの作曲である。帰国後のジミーはジャズで生きることも、他の二世のように米軍で
生きることも選ばなかった。ライオネル・ハンプトン楽団に在籍し、しかし欧州ツアー参加は断り、織田信長
が愛した「幸若舞」研究で博士号を取得。ハワイ大学でアメリカ人に日本文学を教えながら、川端康成、
井上靖、三島由紀夫とも交流し、「日本の持つ魔力」を生涯追究した。彼の生き様は、私たち日本人が宝
の持ち腐れにしてきた「日本の価値」を浮き彫りにしてくれる。移民の国アメリカと日本の20世紀を、複眼的
に再検証する一冊。