年頭ご挨拶
館山寮再建に向けて
2020年1月1日
朝陽同窓会の皆様
東京都立新宿高等学校 朝陽同窓会
会長 田中 俊郎(第17回)
新年明けましておめでとうございます。朝陽同窓会の皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。日頃から都立新宿高等学校ならびに朝陽同窓会への多大なるご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、昨年は5月から元号が令和に替わり、9月から11月にかけて、ワールドカップ・ラグビーが初めてわが国で開催され、日本が予選リーグを首位通過しベスト8まで進出し、日本中が大いに沸きました。そして、「One
Team」が2019年流行語大賞を受賞するほどでした。
しかし、昨年の天候は最悪でした。とくに9月8~9日関東地方を襲った台風第15号は、卒業生の多くにとって「青春の一ページ」を飾る舞台となってきた館山寮(旧塩見寮)に壊滅的な被害をもたらしました。男子寮の屋根、約100坪分が吹き飛び、前庭や海岸との間にある防風林のなかに散乱しました。その悲惨な姿は、朝陽同窓会のホームページやお手元にお送りした「館山寮(旧塩見寮)再建のための緊急支援募金のお願い」の写真の通りです。
その後の台風第19号や第21号による大量の雨によって被害がさらに拡大するなか、朝陽水泳会(水泳部OB/OG会)の多くのボランティアや同窓会の関係者が現地を視察し、片付けや応急的な防水措置などをしていただきました。しかし、最終的には、修復ではなく、再建を目指すことになりました。
過去を振り返ると、母校の歴史は、再建の歴史でもあります。府立第六中学校が設立された翌年、1923(大正12)年7月に塩見朝陽舎が落成し、1年生141名、2年生137名が参加した第1回臨海教室が行われました。しかし、その9月には関東大震災によって、塩見朝陽舎は完全に倒壊しました。しかし、翌1924(大正13)年は、朝陽会債3万円を募集し、塩見朝陽舎を再建し、遊泳を再開したとの記録があります。六中塩見朝陽舎は、不死鳥のようによみがえりました。
現在の館山寮は、1967(昭和42)年に落成したもので、これを機に塩見寮から館山寮と改名し、その後、女子寮の増築や新築などたびたびの大修復を行い、維持されてきました。最近では、2022年の創立100周年記念事業募金の浄財からから、厨房設備の総入れ替え、食堂の冷房化とLED照明の導入、船倉の改修や竹藪の伐採などを行ったばかりでした。
そこに、今回の台風による大被害です。館山寮を所有・管理する一般財団法人東京都立新宿高等学校朝陽会(通称、(財)朝陽会)理事会・評議員会も、朝陽同窓会代表幹事会も、六中以来の臨海教室の伝統を継承し、これから皆様の後輩となる生徒諸君のために、館山寮を再建することを決議しました。前の建物が50年強もったのであれば、今後少なとも50年はもつ強固なもの建てたいと思っております。すでに(財)朝陽会のなかに、「再建委員会」が設置され、再建にむけて勢力的に動き始めてくださっています。
当初、2020年の臨海教室が可能なように7月半ばまでに再建することを目指していましたが、2021年を目指すことになりつつあります。その理由の1つは、度重なる台風で甚大な被害が千葉県だけでなく、関東甲信越東北に拡大し、このため工務店で人材や資材を確保し、期限までに間に合わせる保証がないからです。そこで、第一期工事として、男子寮の浴室や便所などの修復を行うとともに、男子寮を解体し更地にする案が浮上しています。その上で、2020年の臨海教室については、分宿を含めて具体案を考えていただいています。しかも、2020年は東京オリンピックとパラリンピックが予定されており、日程的にもかなりきつく、最終的には、学校側が都教育委員会に次年度の授業・活動計画を提出する1月末までに具体案を提示し、開催の有無を含めてご判断いただかなくてはなりません。状況はまだまだ流動的ですが、皆様に良いお知らせができるようにしたいと思います。
しかし、最大の問題は、再建のための資金です。すでに、契約している損害保険会社に見積りとともに保険金請求の申請書を提出しました。その金額がいくらになるかまだわかりませんが、まずは卒業生18,000名の皆様にご支援をお願いしようと、「館山寮(旧塩見寮)再建のための緊急支援募金のお願い」を発送させていただきました。PTAも、1月末を期限に募金活動を始めてくださっており、入金が始まっています。近くに館山寮をもち、新宿と同じような臨海教室を行っている都立立川高校からはお見舞金が届いています。
卒業生の皆様には、これまで創立100周年記念事業募金をお願し、昨年10月10日現在で、6244万5580円(延べ2819件)のご寄付をいただいています。本当に有難うございます。その上で誠に恐縮ですが、すでにご寄付いただいた方々には、再度、再々度のご支援をお願いいたします。寄付がまだの方々には、ぜひご協力をお願い申し上げます。
なお、館山寮での臨海教室は、長い間、1班2クラス、各3泊4日でしたが、2019年から各2泊3日に短縮されています。その理由は、1年生が臨海教室だけでなく、「総合的な探求の時間」として夏季休暇中にインターンシップ(体験活動)を行うことになり、同時に先生方の過重負担を軽減する「働き方改革」も推進する必要があるからです。
しかし、創立100周年記念事業募金としていただいた浄財のすべてを館山寮再建に注ぎ込むことはできません。すでにもう1つの柱として、貸与ではなく、返済義務のない給付型の朝陽同窓会奨学金の仕組みを立ち上げました。2016年度から支給を始め、各10万円で12名、2017年度は15名、2018年度は10名に支給し、2019年度は20名分を予算化し、執行しつつあります。学校側にも、大変感謝されています。今後、制度の長期的な継続性を確保するとともに、応募や支給の時期、金額、人数、他の目的(例えば国外留学支援など)など、まだまだ充実・発展の余地はあると考えており、そのためにも、100周年事業記念募金の継続が必要です。
第3の柱は、「集いの場」の確保でした。3代目の校舎2階の東南の角にある朝陽同窓会事務局はあくまで事務局です。時間制限や週末など、学校の規則に縛られず、もっと自由に使える「集いの場」が求められてきました。しかし、金額的に施設の購入は難しく、2018年夏から母校近くの明治通りにあるマンションの3階1室を賃借しました。20人位使用可能な部屋で、100年記念誌の編集や同期会の幹事会などに、ご利用いただいてきました。しかし、今後館山寮の再建を優先すれば、予算的に維持することは難しく、賃貸契約を解約する可能性が高くなってきました。
頭が痛いのは、同窓会会費の低い納入率と100周年記念事業募金目標金額の未達成です。その根底にある問題は、どうすれば同窓会員、とくに若い会員に「新宿高校」を思い出し、「新宿高校」に「アイデンティティ」をもっていただけるかだと思っています。そこで、現在の新宿高校を知っていただくために、5月最終土曜日の「総会・記念講演会」とは別に、「ホームカミングデー」を4年前から11月半ばに開催してきました。昨年の第4回目は11月23日(土)に行い、2022年に計画している「記念音楽会」にむけての第一歩として「音楽会」を開催しました。創立69年を数える男性合唱団「六声会」と100周年記念事業で新設された混声合唱団「朝陽合唱団」のコーラス、軽音楽は、軽音楽部現役のmoralとOBによるセッション、管弦楽部の現役とOB/OGによる演奏が披露されました。学校側のご協力によって、現役の生徒諸君も参加し、大変好評でした。参加者も145名、163名、180名と徐々に増え、ついて200名を超えました。皆様のよりいっそうのご協力とより積極的なご参加をいただければ幸いです。
さらに、若い卒業生に、同窓会に関心をもってもらうために、小野瑞城副会長(34回生)を中心に組織の強化を考えています。役員数の増加(例えば、10年ごとのブロックから副会長を選出するなどして9名を15名ぐらいに増やす)、さらにご勤務先の同業者の集まりの呼びかけ(業界朝陽会、例えば、公認会計士・税理士朝陽会の設立)など、横のつながりが強い同期会とともに、世代を縦につなぐ仕組み作りを考えつつあります。
なお、学校が主催する創立100周年記念式典とは別に、朝陽同窓会が主催する祝賀会は、とりあえず2022年10月23日(日)昼食時に京王プラザホテルで、着席による正餐スタイルで行うよう、仮予約を入れました、今後、準備委員会を中心に会費、ゲストを含めた催しものなど、詳細を詰めていくことになります。
今年は、館山寮の再建を最優先課題としておりますが、皆様の更なるお力とご支援をいただかなければなりません。どうぞよろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが、皆様のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。