農学博士 古賀康正さん(3)から新著寄贈
古賀康正さん(3)から新著(共著)『村の小さな精米所が救うアジア・アフリカの米づくり』(一般社団法人 農山漁村文化協会発行 2021年3月20日第一刷)を寄贈頂きました。
以下は 発行元の農文協からの紹介文です。
謹啓
(一社)農文協会ではこのたび、古賀康正著『むらの小さな精米所が救うアジア・アフリカの米作り』(2,000円+税)を刊行いたしました。
本書のテーマはアジア・アフリカの米作発展と技術の関係です。著者の古賀康正氏は農業技術者として、世界の途上国をくまなく歩いた人物ですが、このことを考えるうえで彼が着目したのが、アジアの米作農村地域に戦後多数出現した籾の貸搗き加工所でした。
日本では農民が籾摺り作業(籾の粒から籾殻を取り去って玄米にすること)をしていますが、諸外国では籾の状態で出荷し、籾摺りは業者が行っています。しかし籾殻をかぶった状態では、米の品質は判りません。そこに零細農民が米を買い叩かれる根本の原因がありました。他方で、アジア・アフリカの零細農民は自分たちで食べる米は自らの手で籾殻を搗いて白米にするのが常でした。しかしもみの手搗きは簡単なものではありません。そして、苦労して搗いてもたいへん品質の悪い米しかできないのです。
こうしたなかで「救世主」として現れたのが、上述した農村精米所でした。農村精米所を利用することで安価な手数料で美味しい米を食べることができるようになっただけでなく、品質を明らかにした米を自信を持って売れるようになったのです。著者は、この農村精米所が利用できるか否かは、農民の米作りの意欲のみならず米の品質にも影響を与える、ひいては米の消費が急激に伸びているアフリカの米の増産を考えるうえでもたいへん重要であるといいます。
農業生産の背後にある、ひとびとの日々の営みから試行するーーこれが本書を一貫して流れている著者のものの考え方です。近年アフリカへ農業技術支援が官民を挙げて取り組まれていますが、現場の農民のおかれた社会的立場への配慮は十分とはいえません。本書は、途上国の農民にとって技術とはなにか、援助とはなにかを考えるうえでたいへん貴重なものといえるでしょう。もともと、私たちが当たり前だと思っている日本の米づくり、とくに籾摺りを農家自ら行うことの意味についての平易な解説は、日本の農業に対する理解を促すものだといえます。
つきましては、みなさまがご関係する各紙・誌の書評欄などで広くご紹介いただければ幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。
2021年3月
本書編集担当
(株)農文協プロダクション 田口 均