芥川喜好君は1948年生まれ。新宿高校第19回生(1967年卒)です。早大文学部美術史学科を卒業後、読売新聞社に入社。主として文化部で美術担当記者として健筆をふるわれました。現在、同社編集委員。
美術記者としての成果は、「画家たちの四季」(読売新聞社)・「名画再読美術館」(小学館)・「バラックの神たちへ」(深夜叢書社)などに結実しています。
この芥川君、2006年4月以降、同新聞の<時の余白に>というタイトルのコラムに毎月1回(最終土曜日)執筆しました。この連載は現在も継続中ですが、今回、2011年9月までの文章66篇をまとめたのが、この一冊です。
美術担当記者としての芥川君ですが、ここでは美術をも含めた世の中の諸現象を、「素人として言わせてもらうという”立場”に徹」して書く、という態度を貫き通そうとしていて、それが実に説得力のあるいい文章になっています。
一篇約2000字少々。ページ数にして4ページ。計66篇。どこから読んでもいい。そして「ウム。ナルホド」と思っていただければ、よろしい。そして、筆者が「あとがき」で述べている、「結局、自分が書いてきたことは一つだった」ということばの内実は何だろうか、考えてみてください。
佐藤喜一(1回・旧 国語科教師
S38〜S62)
(みすず書房 2012.5.10発行 280p 2500円+税)