第二回 鈴木仁志さん(38回)
鈴木さんは、日焼けした笑顔で颯爽と事務局のドアを入っていらっしゃいました。
現役高校生の臨海教室を無事に終えられて、その足で駆けつけてくださったのです。
「どこの高校を卒業?」と聞かれ、新宿高校水泳部と答えてしまうほど水泳部を愛して止まない鈴木さ
ん。種目は平泳ぎ、丁度北島康介が北京オリンピックで100mの金を取った日で、目をキラキラさせ
て康介の話をされていました。
高校時代はもちろんのこと、卒業してからも毎年夏には館山の臨海教室に指導員として参加してお
られ、一年は館山に始まり館山に終わるとのこと!健康そのもののお顔の色も納得です。
水泳部はお互いを本名で呼び合うことが少なく、鈴木さんは今でもニルス先輩と呼ばれていて、そ
の仲の良さが窺えて羨ましい限りです。(高校時代も先生からニルスと呼ばれてらしたとか!?)
卒業後、OB・OGとの交わりが始まり、縦社会の規律や年下への”いたわり”などを教わりつつ、後
輩にも伝えていきたい想いがおありです。
大学時代は水泳部で鍛えた体力でトライアスロン部に所属され、全国大会でも優勝の経験をお持
ちの印象通りのお墨付きのエネルギッシュな鉄人でいらっしゃいました。
今春から館山寮統括管理責任者の任に就かれました。
その抱負を伺いましたところ、大正11年より続けられ都立では3校のみで行われている臨海教室、
また86年間無事故を守り続けている唯一の学校として、その誇りと伝統を守り、校風である文武
両道の体現の場として、次の世代に引き継ぎ、一千年後までも伝えていければとの意気込みを
語って下さいました。
遠泳の朝、鈴木さんは必ず生徒達に次の言葉を話されるそうです。
「臨海教室を終えてはじめて新宿高校生になれる」
この言葉は、鈴木さんが新入生で臨海教室に参加していた時の体育指導の先生のお言葉で、新
しい後輩達にも伝え、残していきたいメッセージとのことです。
この伝統ある臨海教室は、文字通り、一つ屋根の下で”同じ釜の飯を食べる”ことで「連帯感」と
「結束力」そして「いたわり、励まし合う心」が養われ、また、本番の遠泳を皆で頑張ることで「克己
心」と「達成感」そして「感謝の念」を学ぶ人間教育の場であるとのことです。更に、大海原で泳ぐこ
とで「自然への畏敬の念」が体感できる自然教育の場でもある、と鈴木さんは考えておられます。
”海の大家族主義”を貫き、安全第一を徹底してやり抜きたいとのお話で、皆さんにも是非「ただい
ま」と館山寮に帰ってきて欲しい、静かで景色も良く、海の幸も豊富な塩見・香(こうやつ)=想い出
の土地で至福の時を過ごして欲しい、とのことでした。夜釣りもできるそうです。(因みにその前の晩
に鈴木さんはアナゴを何十匹も釣り上げたとか〜来年までには捌けるようにしたいと、とても頼もしい
限りです!)
こういう活動が出来るのもひとえに校長先生をはじめとした先生方、OB・OGと厨房のスタッフ、
それに「塩見・香」の地元の方々が居て下さるお陰と大変感謝しておられ、この繋がりは一生大事にして
ゆきたいとおっしゃっています。
将来的には夏ばかりではなく、春、秋、冬も釣りや運動部の合宿等々に利用して頂きたいとのご希望
をお持ちです。鈴木さんの生活圏もいずれは「香」に移行されるかもしれないとのお話でした。(実は
小学1年生のお嬢さんのお名前も香(ほのか)ちゃんです!)
「まだまだ一年目であり、勝手が分からず、地元の方や学校関係者にご迷惑をおかけしてしまうこと
もありましたが、この2〜3年で益々の改善に努めて参りたい」との前向きなお話も聞かせて頂きま
した。
鈴木さん、尚いっそうのご活躍を期待しております。
楽しいお話をありがとうございました。
文責 朝陽同窓会事務局HP担当 松田
鈴木さんは、今年度から館山寮の統括管理
の任に当たられています。