館山寮運営・維持・改修

  館山寮は、同総会先達方のご尽力により大正12年に千葉県安房郡に敷地を購入、同年7月には落成式を行いましたが、同年9月の関東大震災で倒壊。翌年には同総会から資金を募り、大正13年には寮を再建。
 昭和42年には大改築をほどこし、これを期に名を「館山寮」と改め、その後何度かの改修を経て現在に至っています。詳しい歴史はこちらをご覧ください
 このページ末尾に、館山寮の維持管理につき、年代順にまとめた記事があります

 2019年9月関東・千葉県に大きな被害をもたらした台風により男子棟が損壊。このため臨海教室の開催開催などができなくなりました。同窓会は皆様から浄財を募り、(財団)朝陽会(館山寮の所有者)、学校と連携して再建を進め、2022年7月に新築再建工事が完了し、2022年度から臨海教室・一般宿泊が再開されました。
 この再建活動を含めて、これまでの館山寮に関連した同総会活動は以下の通りです。
活動項目 内容 費用 現状
第一期改修工事 厨房改築
食堂改善
2500万円、うち750万円を朝陽同総会が負担 平成28年度にて完了
第二期改修工事 船倉改修
竹藪伐採
門扉改修(延期)
250万円
170万円
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門扉を除いて平成29年7月完了
台風被害再建工事 損壊跡地の整理、倒壊した男子棟・老朽化した女子棟の新築再建、関連施設補修 館山寮再建募金および、保険金、同窓会からの支援 2022年7月再建完了
地元との友好関係の維持
朝陽水泳会への夏期管理業務委託
業務委託先との契約の締結
役務物品の購入
備品の管理
補修計画の作成


第一期改修工事 このページ先頭へ

 館山寮(旧塩見寮)の維持管理と臨海教室の運営に当たっている(財)朝陽会(同窓会とは別組織)では、熱中症の危険性への対処と衛生管理基準の厳格化への対応のため、昨年夏の臨海教室実施に合わせて、食堂と厨房の大改修を実施しました。

 主な改善点は食堂及び厨房へのエアコン設置と、電解水生成装置など最新厨房機器設置と厨房排気対策で、これにより平成28年7月24日から8月8日までの合計16日に及ぶ臨海教室は快適な環境の中で今年も無事故のうちに終わりました。
  改修に要した費用は2500万円で、(財)朝陽会が手持ち資金のすべて1750万円を支出し、不足分750万円を朝陽同窓会が代表幹事会の承認を得て、百周年募金から寄付しました。


  改修により、換気も改善され、明るく衛生状態が良くなった厨房(上) 下はその厨房の外観、ここに見えている部分は全部古い部分を取り壊し、新規に建てたものです。写真に写っているエアコンも以前はありませんでした。



エアコンも無く、白熱電球で暑苦しかった食堂(上)
が照明のLED化とエアコンによって快適になりました(下)。

  エアコンが付けられ、照明がLED化され快適になった食堂(上) 下は食堂に取り付けられたエアコン


 現在の館山寮は昭和42年に新装されて今年で50年。厳しい自然環境にさらされて老化が容赦なく進んでいます。募金による朝陽会への後押しはまだまだ必要です。皆様のさらなるご協力を御願いいたします。


第二期改修工事 このページ先頭へ

 第一期に続いて、老朽化して倒壊が心配される船倉(ボートや救命用具などの保管庫)の改修、近隣住民から落ち葉・藪の繁茂など苦情がでていた竹藪の伐採、伝統ある新宿高校の施設として門扉ぐらい整えたらと意見されていた門扉の改修 などを行います。

*船倉改修 工事費250万円 6月末完了   
*竹藪伐採 工事費170万円 6月末完了
*門扉改修 仕様見直し中  着工は秋以降
*今後の見通し  しばらくは大改修を必要としませんが、老朽化のため種々対応してゆくべき不具合が出ております。

船倉改修


上は老朽化が進み倒壊の恐れもあった船倉、 崩れかけていた土台も修復され、全体改修により下のようにきれいになりました。


 また、この船倉には監視台を新規に取り付けました。これによって、従来浜にでてみないとわからなかった海の様子をこの監視台から見ることができるようになりました。

改築した船倉に取り付けた監視台(上) 下は海側から見た監視台


 監視台からは浜と海の様子をこのように見ることができます。



竹藪の伐採

茫々に伸び放題で、雨後など水滴のおもみで植生が道路に倒れ込み、地元から評判の悪かった藪(上の写真)を伐採、下のように大型バスも展開できる広いきれいなスペースに生まれ変わりました。




門扉改修

 現在破損していて門扉の用をなしておらず、由緒ある新宿高校の施設としていかがなものかと言われている門扉の改修を見積もり中です。

 老朽化で開閉できなくなっている門扉(改修を計画中)



老朽化した井戸ポンプ、これも適宜交換予定。



地元との友好関係の維持 このページ先頭へ


朝陽水泳会への夏期管理業務委託 このページ先頭へ



業務委託先との契約の締結  このページ先頭へ






過去の主な改修履歴  このページ先頭へ



館山寮の歴史 このページ先頭へ

 館山寮は、同総会先達方のご尽力により大正12年に千葉県安房郡に敷地を購入、同年7月には落成式を行いましたが、同年9月の関東大震災で倒壊。翌年には同総会から資金を募り、大正13年には寮を再建。
 昭和42年には大改築をほどこし、これを期に名を「館山寮」と改め、その後何度かの改修を経て現在に至っています。



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館山寮2016年以降の歴史まとめ

◆ 2016年  
● 厨房と食堂の改修
 塩見寮(現館山寮)は、朝陽同窓会の先輩方のご尽力により1923年(大正12年)に千葉県安房郡に敷地を購入、同年7月に落成式を行いました。しかし、同年9月の関東大震災で倒壊。翌1924年(大正13年)には朝陽同窓会から資金を募り、寮を再建しました。
 第二次世界大戦以降も1967年(昭和42年)には大改築を施し、これを機に名を「塩見寮」から「館山寮」と改め、その後も何度かの改修を経て2016年(平成28年)に至っています。
 しかし、食中毒防止と熱中症予防との観点から4月の第46回代表幹事会で、臨海教室開催までに厨房を全面的に改修し、食堂を冷房化することと決めました。
 総工費は2,500万円の予想ですが、財団法人朝陽会の資金も不足してきたため、その内の750万円を100周年記念募金から支出することとしました。昔の財団法人は資金を持っていましたが、相次ぐ改修で手持ちが殆ど底をつきました。
 そもそも館山寮の開寮期間は7月・8月だけで、これで1年間の費用を全て賄えるわけがありません。その時に必要な小さな修理費は何とかなるにしても、厨房と食堂の改修といった大きなものは朝陽同窓会の寄付に頼らざるを得ないのです。

● 改修工事の完成
 厨房と食堂の改修は予定通り7月に完成し、その年の臨海教室も無事行われました。主な改善点は食堂及び厨房へのエアコンの設置と電解水生成装置など最新厨房機器設置、および厨房排気対策の完成です。

◆ 2017年  
● 門扉の改修など
 更に、4月の第50回代表幹事会で7月までに門扉の改修や竹藪伐採、及び船倉の改修を行うことが決定しました。改修する理由は以下の通りです。
・門扉  現在入口に門扉が無く新宿高校の施設としてみっともない
     また不法侵入防止など安全面からも必要
・竹藪  伸び放題になっているので近隣住民から苦情
・船倉  老朽化

● 改修工事の完成
 竹藪の伐採と船倉の改修は6月に完成しました。工事費は竹藪伐採に170万円、船倉の改修に250万円掛かり、いずれも100周年記念募金からの寄付となりました。門扉の改修は暫く延期しました。

◆ 2019年  
● 男子棟の損壊
9月に発生した台風15号により男子棟は屋根が吹き飛ぶなどの壊滅的な損傷を受けました。この報を受けて財団の役員や朝陽水泳会会長などが現地入りして被害状況を調査しました。そして校長など学校や保険会社にも連絡を行い、ホームページで同窓会員に被害状況を報告しました。

● 財団理事会の開催
 男子棟損壊の報を受け10月に開催された財団の第3回理事会では「来年の臨海教室実施に向けて男子棟を修復する」ことが決議され、併せて「財団法人朝陽会は手持資金がないので、朝陽同窓会とPTAに寄付を要請する」ことも決議されました。
・現況報告
-9日8日夜から9月9日未明にかけて襲来した台風15号により、館山寮男子棟は屋根がすべて飛ぶなど甚大な被害を受けた
-9月10日に現地入りした寺澤業務執行理事によると男子棟以外の被害は軽微で、他所の家屋などへの影響もなく、朝陽水泳会などのボランテイアの協力により、後片付けも進行している
・提案
-館山寮における新宿高校の臨海教室開催は、およそ100年の伝統を有する意義のある大きな教育行事である
-歴代の母校校長もこぞってその意義を認めており、また卒業式に於ける卒業生の答辞においても毎回「館山寮での経験のお蔭で真の新宿高校生となれた」と述べられているほどである
-従って今回の台風の被害などで臨海教室を中止することは忍びない。母校・保護者・朝陽同窓会が共に手を携え、来年の臨海教室を無事開催できるよう館山寮男子棟を修復することを提案する
-但し残念ながら財団法人朝陽会は資金の余裕がないので、PTAと朝
陽同窓会に寄付を要請することとしたい
-また、財団理事会内に修復実行委員会を編成し、被害状況の確認、修復計画の立案、保険会社との交渉、工務店の選定などについて、事務局を支援することを提案する
・今後の日程
-来年度の臨海教室実施を考え、修復は2020年6月初旬完了を目指す

● 代表幹事会の開催
 前述の財団理事会の要請を受け朝陽同窓会は直ちに第60回代表幹事会を開催し、対応策を決定しました。
・基本方針
-朝陽同窓会は全力で館山寮男子棟の修復を支援する
・修復を支援する理由
-館山寮は卒業生にとって貴重な思い出の地である
-臨海教室は100年近く続く伝統行事である
-1年生は臨海教室に参加して真の新宿高校生となる
-この5年間、卒業式の卒業生の答辞で臨海教室のことが常に触れられていた
-歴代校長なども館山寮を支援
・修復費用
-現在の所、正確な修復費用は見積もれない
-建坪が約100坪あり、坪単価50万円として5,0000万円ほど掛かると推定
-但し保険金が支払われることも予想
・寄付
-100周年記念募金の対象事業は、朝陽奨学金、館山寮、集いの場である
-したがって修復のための財団への寄付は100周年記念募金から支出する
-但し現況で100周年記念募金を大幅に財団に寄付すると、今後の100周年記念事業に影響を及ぼす可能性があるので、台風による館山寮の被害の早期の修復を同窓会員に呼び掛け、館山寮再建募金を募る
-募金の呼び掛け開始は本年11月末を目標とする。
・日程
-2020年6月に修復を完了し、7月の臨海教室開催を目指す
・修復実行委員会
-改修工事を計画監督するため、財団内に修復実行委員会を編成
-事務局は朝陽同窓会事務局が担当
-委員会の目的は被害確認、修復のための仕様の作成、修復費用見積
もり、工務店決定などとする

● 館山寮再建委員会の設立   
 当初は男子棟の土台などは使えるのではないかということで修復実行委員会と名称を付けていたが、全面建て替えの可能性が出てきたので改名し館山寮再建委員会を設立し、メンバーも決定しました。
・委員長 寺澤忠興S22   財団業務執行理事
・委員 岩崎洋平S38   代表幹事、財団評議員、一級建築士
    鈴木仁志S38 代表幹事、財団評議員
    近藤正昭S38   火災保険会社勤務
    原田将史S48   一級建築士
・アドバイザー  奥村直生    財団理事、PTA会長
    田久保裕之S52 母校体育科教員
・オブザーバー  龍岡直道S24 朝陽同窓会副会長
 再建委員会は早速活動を開始し、6回に渡り地区に赴き館山市役所等各関係先を訪問し現地事情の聞き取りを行いました。

● 男子棟再建時期の延期と第一期工事計画の策定
 12月に入り財団理事会は再建委員会の提言を受け、以下の様な決定をしました。
・工期が確保できないため2020年夏前までの男子棟の再建を断念し2021年夏前までの完成を目指す
・但し男子棟が無くてもホテル宿泊などで臨海教室開催の可能性があるので、第一期工事として2020年夏前までに男子用風呂と便所の改修、昨年漏水して修理不能となった受水槽の取替を実施
・併せて倒壊した男子棟の解体撤去も行う
・改修のための設計監理は再建委員の原田将史S48に委嘱し、設計料として100万円を支払う
・第一期工事費見積金額は900万円

● 趣意書の発送 
 朝陽同窓会では館山寮再建のための募金を呼び掛けるため、12月に約17,000通の募金趣意書を同窓会員に対して発送しました。

◆ 2020年
● 再建委員会委員長の交代
同じく1月に再建委員長が寺澤忠興S22から、鈴木仁志S38に交代しました。

● 新男子棟の模型
1月に再建委員の原田将史S48が自費で新しい男子棟の模型を作成し、役員会に持参しました。これが雁行型と言われる棟の配置図で、非常に斬新で各役員の注目を浴びました。

● 保険金の受取
 1月に損害保険会社から保険金8,659万円を受領しました。このような高額の金額を受け取れるとは思っていなかったので、望外の喜びでした。長い間保険料を支払い続けて頂いた先輩方、及び火災保険会社に勤務する近藤正昭S38委員のご協力に感謝します。

● 館山寮再建募金の開始
 昨年12月に趣意書を発送し、1月末には早くも募金総額は1千万円を突破しました。募金の中には現役生、及びその保護者や他校関係者からのものも含まれています。

● 第一期工事着手
 3月の財団理事会で、第一期工事の設計が完了し、館山地区の二つの工務店に見積もりを依頼したとの報告がありました。総工費は約1,500万円で4月には着工予定とのことです。

● 臨海教室実施見合わせ
 同じく3月の理事会で母校が2020年度の臨海教室の開催を見合わせる決定をしたとの報告がありました。男子棟の再建が間に合わず、地域の他の宿泊施設を利用や、トレーラーハウスを使う案も検討したが、今まで通り安全に臨海教室を実施できないとの結論に達したとのことであり、さらにこの頃からコロナの感染が拡大してきたことも影響しています。

● 建設業者の選定開始 
 3月になり再建委員会は建設を依頼する建設会社のリストアップを開始しました。対象となった会社はニジアーキテクツ、積水ハウス、住友林業、石井工務店、システム建設の5社です。見積価格は男子棟の再建のみで最高で7,850万円、最低で5,750万円でした。
 但し、このリストアップは綿密な設計仕様を提示して見積もりを依頼したわけではなく、ヒアリングはしましたが比較的アバウトな依頼でした。結果として各社が提示してきた金額も大きな差異があるものでした。詳細な設計仕様で見積もったのであれば、廉価な建設会社を選択すれば良いわけですが、詳細仕様設計の段階で金額が大幅に変わっても受け入れざるを得なくなるかもしれず悩みは尽きませんでした。
 また、金額によってはせっかく入った保険金を全部使うだけでは賄えず、さらに朝陽同窓会からの援助が必要になります。しかも結果として男子棟の再建のみということになります。
但し、2020年の臨海教室開催が中止と決まったので、より廉価で機能も向上した再建計画を追求する時間が出来ました。

● 再建工事の混迷
 新型コロナ感染症は館山寮の再建工事にも大きく影響を与えました。「男子棟の再建工事のみで7千万円を超す支出をするのは論外で、もっと廉価な工事を追求すべきである」という意見や、「せっかくだから質の良い建物にすべきである。足りなければさらに募金を集めればよいのではないか」と言う意見もありました。また、「せっかくだから夏以外の時期にも利用できる館山寮を目指すべきである」という様々な意見が混在しました。
 話をまとめようにもコロナ下で対面しての議論が出来ず、工事計画は一向に前進しませんでした。さらに議論をする人たちのバックグランドが異なり、同じ単語を使っていても解釈が異なり、話がまとまるどころか益々紛糾の度合いを増してゆきました。

● 第一期工事の完了 
 一方で男子棟の解体・撤去工事は5月の連休後に終了し、男子用風呂・トイレの改修は7月末に終了しました。また、昨年漏水して修理不能となった受水槽の取替も同時に行いました。この工事の設計・監理はニジアーキテクツ一級建築士事務所に委嘱し、施工は相見積もりの結果石井工務店に発注しました。工事費は男子棟解体・撤去に500万円、男子用風呂・トイレの改修・受水槽の取替に1,100万円掛かりました。

● 第ニ期工事建設業者候補の追加
 8月になり山本展也S27と島崎主税S28から、加藤建設、三浦建設、白幡興業の3社を新たに建設業者候補として追加してはどうかとの提案を受けました。二人は第2期工事を可能な限り廉価に行うべく、自身の伝手を頼って独自に業者を探しました。
 この3社からの見積もりはいずれも3,900万円から4,500万円の範囲で、なるべく工事を廉価に収めたいと思っている財団にとっては救いの神となります。

● 第二期工事計画の策定 
 10月に財団理事会が書面開催され、以下の第二期工事計画が承認されました。
・工期
-コロナ対策を十分に施した上で、2121年6月工事完成を目途
・女子棟
-男女同等の施設が望ましいとの学校側の希望と、老朽化とシロアリ被害の発覚により女子棟の改築も考慮
・予算限度額
-女子棟を改築した場合でも、下記の手持ち資金の範囲内に限定
  保険金      8,660万円
  再建募金    2,140万円
  第一期工   -1,600万円
            9,200万円
・建設会社
-現在までに見積書を提出して協力を申し出ている加藤建設、三浦建設、白幡興業、住友林業、システム建設、石井工務店、ニジアーキテクツ、積水ハウスの内、見積書や会社の財務状況、過去の建設実績を再建委員会と事務局で検討した結果、再見積もり依頼先を加藤建設、白幡興業、住友林業の3社に決定する
・日程
-11月までに建設業者を1社に決定し、2021年1月から工事を開始し6月には完成させる
・再建委員会再編
-建設完了までの施工管理は、再編された以下の再建委員が担当する
委員 湯山康樹S25 一級建築士
鈴木仁志S38 代表幹事、財団評議員
岩崎洋平S38 代表幹事、財団評議員、一級建築士
富宇加潤S48 一級建築士

● 第二期工事計画の承認  
 前述の財団理事会で承認された第ニ期工事計画は続けて開催された代表幹事会でも「2年続けて臨海教室が開催されないとその先は中止となる恐れがあり、来年6月の工事完了を目標とする」ということで承認を受けました。

● 見積の辞退  
10月の財団理事会の決定を受け、加藤建設、白幡興業、住友林業に対し見積依頼を致しました。主な内容は以下の通りでした。
・工期  2021年6月完成
・仕様  男子棟再建、女子棟改築、保健室増築、二段ベッド、
     浄化槽改修
・予算  9,200万円
・回答  11月末
結果は3社とも「当初は男子棟の再建のみだったが仕様が多くなった」などの理由で見積書の提出を辞退しました。

● 見積の再依頼
 そこで男子棟のみの再建ではどうかと見積の再依頼を白幡興業,加藤建設の2社に出しましたが、白幡興業は人手が足りないなどの理由で見積の提出を辞退されました。また加藤建設からは見積概算を受領しましたが、ただし完成は最短で2021年末であるとのことでした。なお、男子棟・保健室新築、浄化槽改修での見積概算は5,100万円でした。
 この結果を受け、学校側には2021年6月までの完成は不可能であることを伝えました。

◆ 2021年
● 館山寮再建実行委員会の設置
2019年10月に財団内に設置された館山寮再建委員会は新たに朝陽同窓会副会長2名を加え再編成することとし、名称も館山寮再建実行委員会に変更しました。
委員会のメンバーは下記の通りです。 
・委員長 髙橋寛S32   副会長
・委員  柴田真樹S18 副会長
湯山康樹S25  一級建築士
鈴木仁志S38  代表幹事、財団評議員
岩崎洋平S38  代表幹事、財団評議員、一級建築士
駒形昭子S43  朝陽水泳会 
富宇加潤S48  一級建築士

 変更の主な目的は「館山寮再建実行委員会規程」を策定し、委員会の役割を明文化することです。規程には以下の条項等が記載されました。
・委員会は一般財団法人朝陽会代表理事の求めに応じて、館山寮再建計に関する設計与条件、工事内容の確定などを検討・立案し、報告する
・委員会は代表理事の求めがない場合においても、館山寮再建計画に関して重要と判断した事項に関し、代表理事に対処策の立案を提案、或いは報告を可能とする
・委員の選定方法を明示する

● 建築設計事務所の選任 
同じ第65回代表幹事会では再建工事の障害となる既存不適格部分(法令の改正等により現浄化槽が法令違反になっていることへの対応)の解決を図るため、社会的信用があり実績のある4社に設計委託料の見積もりを依頼し、最低価格を提示したニジアーキテクツ一級建築士事務所を選任しました。

● 2021年度総会開催 
 2021年度の総会は6月に書面開催され、前述の会長・幹事長交代や館山寮再建実行委員会の設置、建築設計事務所の選任はいずれも承認を受けました。

● 学校側の要望聞き取り 
 再建実行委員と財団業務執行理事はニジアーキテクツを伴い、学校の臨海教室プロジェクトチームを訪問し、学校側の要望を聞き取りました。
 学校側は2022年度臨海教室実施に向け、男子棟と女子棟の同時完成を強く希望しており、建物の形状は倒壊前の姿の再現を要望していました。
 また、新たに保健室の設置も希望しています。

● 基本設計案の提示 
 10月に書面開催された第66回代表幹事会では工事の現況について、財団から以下の報告がありました。
・ニジアーキテクツと契約を締結し、工事監理費660万円を支払う。
・男子棟には6室を建設
・女子棟には5室を建設
・現存新築女子棟は女子教員用および保健室用とする。
・棟の配置
-雁行型の配置案や回廊デッキ作成案も依然としてあったが、結果的に直線的配置と決定
・ECI方式に準じた設計方式を採用
-ECI方式は設計段階から施工業者が参画し、施工受託を前提とし技術協力するもので、建設コストの削減や工期短縮のメリットがある
・5社に対し設計段階での技術協力見積書の提出を依頼
-回答のあった加藤建設、白幡興業、石井工務店の3社の内、見積額・建築実績・ウッドショックへの対応の観点から南房総市の加藤建設を選択
-技術協力費用は約30万円

● 第二期工事計画の承認 
 財団は11月に理事会を書面開催し、以下の第二期工事計画を承認しました。
・工事内容
-男子棟及び女子棟の新築と浄化槽の更新を実施
-工事は2022年1月に着工し、6月末に完成を予定
-施工は加藤建設に発注、設計工事監理はニジアーキテクツに委嘱
-工事費総額は11,107万円を上限にする
-工事代金は保険金や館山寮再建募金既応募額など財団の積立金からまず拠出し、不足分は今後更に館山寮再建募金活動を行い、新たに得た募金を充当する
・男子棟
-全てを新たに建築
-分棟型宿泊室6室を直列的に配列
-6室には教員室、OB室各1室を含み、全室床張りを想定
・女子棟
-既存女子棟はシロアリにより腐食し利用不可なので、解体し新たに建築
-分棟型宿泊室5室を直列的に配列
-5室にはOG室1室を含み、全室床張りを想定
・浄化槽
-当初は既存の浄化槽が、引き続き利用可能と想定していたが、調査の結果法不適格が判明、今回更新を決定
・管理人室改修
-台風により雨漏り等が発生しているので、内装の一部を改修
・学校からの要望
-上記の建築仕様は学校からの要望も充分に考慮
・工事日程
-施工業者との仮契約      2021年12月
-施工業者との本契約と着工   2022年 1月 
-工事完了           2022年 6月 
・施工業者選定
-既に技術協力者として委嘱済みの加藤建設を指名
-選択理由は以下の通り
・同等規模の木造建築を多数建設するなど建設実績豊富
・建材の確保などの対応力を評価
・第二期工事にも意欲を提示
・基本部分の工事費概算見積額が妥当な範囲
-工事監理・結果検収
基本設計を依頼したニジアーキテクツに委嘱
・工事費および関連費用
-2020年10月における見積もりに対し、関連費用を加えた結果、
以下の通り
前回   9,200万円  前回とは2020年10月の理事会
今回   11,107万円
差異   1,907万円
-増加の要因は浄化槽更新1,833万円とカーテン、空調機等什器備品の購入などの初期費用300万円の追加による
-それ以外は女子棟を改修から解体新築に替えたことを含めても全て前回予算内
・資金手当
-工事費11,107万円は、まず財団手持資金から支出する。
2021年10月末の手持資金
 保険金         8,660万円
 再建募金既応募額 3,248万円  
 第1期工事代金  △1,600万円   男子棟解体費等
              10,308万円
-不足分799万円は2022年1月にニュースレターを発行し、再建募金を募り充当
-工事代金の支払予定日である2022年6月の段階で再建募金が目標額に到達しなかった場合は、100周年記念募金の内、将来の館山寮維持管理のための資金からから支出

● 第二期工事計画の了承
 12月に書面開催された第67回代表幹事会は、前述11月の財団理事会での決定事項を全て了承しました。

◆ 2022年
● 第二期工事の着工
2月に開催された第68回代表幹事会では、第二期工事の進捗状況の報告が有りました。
・日程
-加藤建設との契約    1月20日
-女子棟解体開始     1月20日
-男子棟完成予定     6月中旬
-女子棟完成予定     6月下旬
-浄化槽完成予定     6月下旬
-完了検査終了      6月末日
-引渡し           7月上旬
・工事費
-配線工事に見積り漏れがあり、12月の代表幹事会での見積額より96万円増加した
● 第二期工事完了
館山寮第ニ期工事は7月6日に無事竣工し、建物の引き渡しを受けました。

また工事費の最終金額は下記の通りで、見積額の範囲内で済みました。
工事関係費用  
男子棟建築 4,572 万円
女子棟建築 3,774 万円
浄化槽修復 1,355 万円
その他工事  242 万円
設計・監理費用  960 万円
初期費用     300 万円 
11,203 万円

● 臨海教室の実施
7月24日から8月5日まで1泊2日で1クラスずつ臨海教室を実施し、事故もコロナ感染も無く無事終了しました。本当に良かったです。

◆ まとめ
 当初は2020年6月には完成していると思われた館山寮再建工事ですが、結局2年遅れの2022年6月となりました。この遅れの大きな原因はやはり新型コロナ感染症の拡大でしょう。
 学校や事務局が閉鎖されたり、総会や代表幹事会が全て書面開催になるなど、今まで経験したこともない大きな環境の変化で戸惑いました。異なるビジネスエリアで仕事をされている方々がメールやテレビ会議のみで1億円を超す再建工事の計画、立案、審議、調査、検討等々を実行するのは大変なことでした。
 何とかそれを乗り越えてきたのは、同窓会会員の館山寮に対する熱い思いにあったと推測します。やはり同じ新宿高校を卒業したからこそ、一時的な行き違いも最後にはお互いに理解しあえて先に進むことが出来ました。

 改めて同窓会会員の皆様のご理解とご支持に感謝申し上げ、同時に毎週テレビ会議で再建計画を作り上げて頂いた館山寮再建実行委員会の方々、また、計画実行にご協力頂いた朝陽同窓会役員・財団役員の方々、更には支援頂いた学校、PTAの方々、朝陽水泳会の方々に厚く御礼申し上げます。

 また、この3年間、朝陽同窓会を下支えしてきた事務局の方々にも畏敬の念をもって感謝申し上げます。本当にご苦労様でした。

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